今回は訪問診療クリニックがどうやって患者・家族にマイナ保険証を作ってもらうか検討したことを記載していきます。
そもそも患者さん側からするとメリットが少ないため、何とか作ってもらうしかありません。従来保険証とマイナ保険証では医療情報取得加算が初診だと3:1点、再診料が2:1点とやや高かった程度ですが、これも2024年11月で終了し、12月からは医療情報取得加算は1つにまとまります。保険証も1年間は猶予期間があるため、患者さんにはよくまだ大丈夫でしょ?と言われてしまいます。
マイナ保険証の普及は国の方でうまくやってよと思ってしまいますが、医療DX推進体制加算が適応されないのも困るのでクリニックが動くしかありません。
高齢者はオンラインでの申請はできないものと判断して、以下ではアナログ対応を想定して記載しております。
パターン別の誘導
①認知症無し、歩行・記載可能
こんな方はそもそも訪問診療の対象となる割合が低いですが、毎回訪問時に作るように依頼すると作ってくれます。「まだまだいらないんでしょ?」、「証明書みたいなのが発行されるから来年も使えるんでしょ?」と言われてしまいます。その時は「いつかは必ず移行するので早めにゆっくり準備していった方が良いですよ」「毎年の保険証のやり取りが減りますよ」などお伝えして納得してもらいます。
オンライン手続きが楽ですがおそらく高齢者には難しく、郵送を準備するか、とりあえず市役所に行けばなんとかなるのでと伝えています。
②認知症無し、歩行・記載不可
市役所に行かなくても郵送で対応できることを伝えています。また、家族、介護職員・施設職員などが代理で申請書を提出することもできます。
Q:マイナンバーカードを代理で申請することはできますか?
A:マイナンバーカードはご本人様に申請していただく必要がございます。
ただし、15歳未満および成年被後見人の方は、法定代理人による代理申請が必要です。
また、マイナンバーカードの交付申請書の記入が困難である場合については、介助者及び職員等の代筆のうえ、本人が押印を行うことで、有効なものとして認められます。
なお、交付(受け取り)については、本人が窓口へ出向くことが困難であると認められる場合、代理人による手続きが可能ですので、住民登録のある市区町村にご相談ください。
マイナンバーカード交付申請書:https://www.kojinbango-card.go.jp/hpsv/wpmng/assets/pdf/download/tegaki-kofu-shinseisho.pdf
送付用専用封筒:https://www.kojinbango-card.go.jp/hpsv/wpmng/assets/pdf/download/envelope.pdf
おそらく顔写真の準備が手間になると思いますが仕方が無いです。
③認知症あり
まずは家族に作成を依頼します。今はまだ請求書にマイナンバーカード作成依頼の通知を作って同封するに留めています。また施設に来た際には施設からも伝えていただくよう依頼しています。さすがにまだ家族に電話するまではしていません。
次の手は施設への依頼です。今のところどの施設も対応はしてくれてませんが、本来は上記記載したように介護者・職員は代筆が可能です。家族が疎遠、家族がいないといった場合は施設を説得して記載してもらいましょう。
最後の手はクリニックでほぼ準備してしまう方法です。サイン部分以外は準備してしまい、顔写真もこちらで準備してしまう。家族がいる場合は承諾などいろいろ面倒だと思うのでやりたくないですが、認知症で身寄りもいない場合は9割方準備して、サインだけ施設介護者にしてもらうのは合法なはずです。
受け取り方法
申請まではわりとやりようがあるのですが、問題は受け取りです。代理受け取り可能ですとは書いてますが、じゃあパスワードどうするの?問題です。顔認証はあり、パスワード設定は無しというマイナンバーカードの設定方法もあります。しかし、マイナ在宅受付webでは顔認証はできません。よってパスワード設定は必須です。
署名用電子証明書(英数字組み合わせパスワード)と(利用者証明用電子証明書・住民基本台帳・券面事項入力補助用の)数字4桁暗証番号があります。施設職員が勝手にパスワード作るわけにもいかず、これはもう家族がいるなら家族が行くしかないと思うんです。
代理受け取りの場合は『ご本人の出頭が困難であることを証する書類』など諸々の書類も必要になります。
自治体によるとは思いますが、75歳以上なら委任状や文書を書くだけでも良いかもしれません。介護保険被保険者証、認定結果通知書といった介護申請の結果書類も認められることが多いようです。よってわざわざ診断書をクリニックが記載する必要はないと思われます。
最後に
だいたいの認知症高齢者は、暗証番号見せるから入力してよ、と言ってくるくらいの感覚です。家族に作ってもらうのが1番妥当な選択肢でしょう。(申請までは施設が代理でやってあげるで良いと思うのですが、、、)
まだまだ道のりは遠そう
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