HEPTとはHeart failure Palliative care Training program for comprehensive care provider.の略で、心不全緩和ケアトレーニングコースのことです。よくある緩和ケア研修会の心不全バージョンですね。
e-lerningでの講習 と、0.5日のzoomで行うオンライングループワークで構成される医師向け講習会です。よって看護師さんなどは受けられません。e-learning の部分はHEPTが作成したスライドがあるので、それを受講した医師に見せてもらって勉強することは可能かと思います。
2024年4月1日におけるHEPT 受講者数は1651人(日本の従業医師数の0.49%)とまだまだ普及には至ってないようです。
緩和ケア診療加算の算定要件の1つとして認められてます。そして日本心不全学会公認の緩和ケア推進委員会オフィシャルコースとして認められてるとのことです。
心不全緩和ケアの最大の特徴は、心不全治療そのものが緩和ケアになることだと思います。癌の場合は亡くなる時まで化学療法を続けることは無く、どこかで緩和的治療のみに切り替わる時期があると思います。ですが、心不全末期の場合は概ね最期まで心不全治療(利尿剤持続投与や内服加療)を継続しつつ、麻薬なども使用していくわけです。
なので、超専門まで行かなくても、ある程度は心不全治療も緩和ケアも知らないといけないのです。病院であれば循環器内科と緩和ケアチームが診察したら良いですが、在宅医療はそういうわけにも行かず。もしかしたら在宅医療側の医師こそこの講習は受けるべきかもしれません。
診療報酬改定から見ても在宅医療での心不全緩和ケアは重要となってきています。2018年には緩和ケア診療加算に末期心不全が、2020年には外来緩和ケア管理料に外来、在宅の末期心不全が追加され、2024年には在宅での麻薬指導管理料に末期心不全が適応となりました。在宅強心剤持続投与指導管理料も作られてます。
国の方針として入院、外来、在宅と順に点数をつけて、在宅でも末期心不全をみていきなさいという意思なのかもしれません。
今後末期心不全の緩和ケアについても書いていきたいですが、まずはドクターの方は受講してみてはいかがでしょうか?無料ですし、(本当は良くないでしょうけどe-lerningだけ受けるでもかなり勉強になりますし)、オンライングループワークも0.5日で済みます。講習修了してもインセンティブがつくわけではないですが、社会的に心不全末期患者は増え続けて問題になっていきますので是非ご検討を。