在宅医療の患者さんと聞くと、がん末期や認知症のイメージが強いかもしれませんが、実際にはさまざまな疾患に対応しなければなりません。小児科や眼科はさすがに専門外ですが、軽度の皮膚科、精神科、神経内科なども診ることが求められます。
以前よりもガイドラインがネット上で手軽に入手できるようになったため、事前に調べておけば大まかな対応は可能です。しかし、往診中にガイドラインをじっくり読む時間はありません。そのため、実際にはm3.com電子書籍アプリ(旧m2plus)でキーワードを入力し、必要な情報を瞬時に調べることが多いです。
このページでは、訪問診療に転職してから購入した電子書籍を随時書き出し、更新していきます。すべて自分で購入し、実際に使用したものです。
在宅医療系
在宅医療コアガイドブック
在宅医療における総論や、主要な10疾患について解説されています。専門医には既に理解している内容も多いかもしれませんが、私は特に認知症に関して学ぶ機会が少なかったため、この部分をよく読みました。ただし、一度読んで覚えてしまうと、再び使う機会は少ないかもしれません。
在宅医療 藤田総診リアル実践ガイド
在宅医療の開業、運営を目指す医師向けの教科書といったイメージでしょうか。疾患の解説ではなく、病院診療との違いや実際のスケジュール、運営方法について記載されています。在宅医療の運営に関する教科書は少ないので、転職を考えている方や、これから在宅医療を始める方にはおすすめです。ただし、薬の選び方などの各論には触れていません。
在宅医マニュアル 第2版
総論・各論に加え、緩和ケアから看取りまでの処置などが網羅されています。緊急時や実務的な対応が必要なときに便利です。症候編もあるため、鑑別診断を早期に行う際にも役立ちます。私は電子書籍版を使用しているので、すぐに目的の部分にアクセスできますが、紙の本だと辞書を引くような形になり、やや手間がかかるかもしれません。
訪問診療の診かた、考えかた
『在宅医療コア ハンドブック』よりも臨床に寄った内容です。目次を見るとわかりますが、訪問診療の基本から10大症状、10大疾患などが記載されています。最初の頃に広く学ぶためには、非常に適していると思います。
緩和ケア系
緩和ケア ポケットマニュアル 第2版
無駄なくまとまっており、非常に助かります。これまで緩和ケア系の教科書にはスピリチュアルな話が多く、読み物のような印象を持っていましたが、この本は必要な考え方に触れつつ、実際にどうすべきかが具体的に書かれており、緩和ケア初心者には非常に役立ちました。現在は第3版も出ているようなので、価格も手頃ですし、購入してみるのも良いでしょう。
認知症系
内科医のための 認知症のBPSD(行動・心理症状)への向精神薬の使い方
認知症系の教科書は訪問診療に比べて多くの選択肢がありますが、私の場合、だらだらとした文章が苦手なので、困ったときにすぐに調べて答えがわかるものを重視してこの教科書を選びました。認知症患者さんに「先生、何とかして」と相談されるのはBPSDに関することが多いので、この本はその点を十分にカバーしてくれており、非常に助かっています。
最後に
まだまだ買って良かった教科書はありますので、随時追加していきます。