在宅医療現場でのマイナンバーカード活用ガイド:認証方法とポイント

在宅医療(システム)


在宅医療でも、マイナンバーカードを保険証として利用する仕組みが始まっています。ここでは、私が勤務するクリニックでの経験をもとに、その手順を記録します。

最終的なゴールは以下の通りです。

  1. 職場のスマホを使用し、ブックマークしておいた認証ページへ進む。
  2. 患者さん、またはご家族に4桁の暗証番号を入力してもらう。
  3. マイナンバーカード本体をかざし、認証が成功したら終了。

ただし、この設定を完了するまでには多少の準備が必要です。

【メリット】

保険証の提出が簡単に
在宅医療の現場では、毎年7月から8月にかけて保険証の提出をお願いしていますが、認知症患者さんに提出してもらうのは非常に困難です。しかし、マイナンバーカードなら有効期限が10年になります!

多くの医療情報を一括で取得
同意を得られれば、手術情報、診療情報、薬剤情報、特定健診情報、限度額情報、特定疾病療養受給者証情報がまとめて得られます。(情報取得の同意は3ヶ月だけ有効?調査中…)

診療報酬の加算に対応するために必須
2024年10月から始まる「医療DX推進体制整備加算・医療情報取得加算の見直し」に伴い、一定の認証率を達成していないと加算が得られません。計算方法にも問題があり、早期に対応する必要があります(後述)。

【準備】

「マイナ在宅受付web」にアクセスする際、まずどうすればたどり着けるのか分からないと思うかもしれません。多くの在宅医療クリニックには、オンライン資格確認のために購入・設定されたパソコンがあるはずですが、そのシステムにログインし、QRコードまたはURLを取得する必要があります。このURLは各クリニック固有のものが発行されているので、インターネット検索でマイナ在宅受付webを探してもログインページは見つかりません。

当院では、業務用スマホのアプリ(Chrome)にこのURLをブックマークしました。個人デバイスを使用する場合は、BYOD(Bring Your Own Device)のポリシーを理解した上で使用しましょう。

また、「マイナポータル」アプリも必要ですのでダウンロードしてください。これで認証環境は整います。

【患者さんのマイナンバーカード準備】

最近は、毎日患者さんにマイナンバーカードについて確認していますが、大まかに以下の4段階に分かれます。

  1. マイナンバーカードを知らない。
  2. マイナンバーカードを知っているが、作っていない(ほぼ全員が作り方が分からない)。
  3. 持っているが、暗証番号が分からない。または保険証と紐付いていない。
  4. 家族が管理しているため、認証時にカードを持参できない。
  5. (数%ですが最近、「私はマイナンバーカード作りません!」と宣言する方が出てきました)

1や2の状況では、家族や施設職員に代理で作ってもらうしかありません。

3の状況では、暗証番号を3回間違えるとロックがかかり、市役所での対応が必要になります。また、「マイナ在宅受付web」では保険証とマイナンバーカードを紐付ける機能がないため、これが厄介です。

4の状況も厄介です。訪問診療時に家族がカードを持参する可能性は低く、本人に預けても暗証番号を覚えられません。施設も保険証とは異なり、マイナンバーカードは預かってくれないのが実情です。

【診療報酬改定について】

2024年7月に、厚生労働省は「医療DX推進体制整備加算・医療情報取得加算の見直し」を発表しました。2024年6月の改定で、「医療DX推進体制整備加算・医療情報取得加算」の基準が明確化され、一定の割合でマイナ保険証での認証が必要となります。

2024年10月から12月までは、マイナ保険証認証率が5%→10%→15%で、それに応じて8→10→11点が加算されます。2025年1月からは、マイナ保険証認証率が10%→20%→30%で同じ点数が加算されます。

加算する月認証達成率
2024年10〜12月5%〜8点
10%〜10点
15%〜11点
2025年01月〜10%〜8点
20%〜10点
30%〜11点

計算方法は「マイナ保険証の利用者数の合計 ÷ レセプト枚数」とされており、10月分の加算は、5〜7月分(通常、最終の7月が最高値となると思われます)の実績から算出されます。

ただし、2025年1月までは「マイナ保険証の利用件数 ÷ オンライン資格確認等システムの利用件数」で計算されるため、その間は加算適応外にはならなさそうです。

加算する月レセプト件数で計算の場合オンライン資格確認件数で計算の場合(こっちが有利!)
10月5〜7月の数字を元に計算6〜8月の数字を元に計算
11月6〜87〜9
12月7〜98〜10
01月8〜109〜11
02月9〜11経過措置終了
03月10〜12経過措置終了

参考:https://www.mhlw.go.jp/content/10200000/001277499.pdf

毎日マイナンバーカードについて質問していますが、実際に認証にたどり着ける人は今のところ3%程度でしょうか。認知症が軽度の方が住んでいるサービス付き高齢者向け住宅での状況が多いです。上記の診療報酬改定において、計算方法にタイムラグがあるため、訪問診療専門クリニックは早めの対応を心がけましょう。

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